「ロタウイルスにかかるとどのような症状が出るのだろうか?」
「ロタウイルスは何が原因となりかかるのだろうか?感染経路は?」
「ロタウイルスにかかったらどうやって診断できるのだろうか?」

ノロウイルスに比べると、あまり聞きなれないロタウイルスですが様々な疑問が出てきます。

実は、ウイルス性胃腸炎の原因としては、大人を含めるとノロウイルスが最多ですが、小児に限るとロタウイルスが25-30%と最多1)を占めています。

今回はこのロタウイルスについて、

  • 流行する時期・かかりやすい年齢
  • 感染経路
  • 検査
  • 症状・合併症
  • 治療法

までを図(イラスト)を交えながら、わかりやすくまとめました。

では行きましょう。

ロタウイルスにかかりやすいのは?赤ちゃんや大人は?

ロタウイルスは冬から春にかけて流行する乳幼児嘔吐下痢症の原因ウイルスです。

ロタウイルス胃腸炎は6ヶ月の赤ちゃんから2歳の幼児に好発し、下痢症を起こします。

一方で、年長児や大人の場合は、無症状であったり、下痢があっても軽度であることが多いとされます1)

ロタウイルスの感染経路は?

ロタウイルスの感染経路としては、ヒトからヒトへの、糞口感染(経口感染)です。

つまり、感染している子供や親がトイレに行った後、手を洗わなかったり、手洗いが不十分なまま、ドアノブを触ったとします。

次に、そのドアノブを触った子供が、手を洗わずにおやつを食べたりすると、手からおやつに、そしておやつから感染してしまうということです。

このロタウイルスはごく少量のウイルスであっても感染が成立すると言われます。

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では次にそんなロタウイルスに感染していることをどのようにして診断するのかについて見て行きましょう。

ロタウイルスの検査は?

ロタウイルスにはA〜G群とたくさん種類がありますが、通常問題とされるのはA群のみです。

このA群ロタウイルスの診断には、イムノクロマト法(便ラテックス凝集法)と呼ばれる迅速検査キットが用いられ、ベッドサイドで10分程度で結果を知ることができます。

これは、インフルエンザ迅速キットと同じようなものです。

インフルエンザ迅速検査では、咽頭から検体を取ってきますが、ロタウイルスの場合は、直腸から便を採取します。

ロタウイルス含め胃腸炎の検査方法についてはこちらにまとめました。→胃腸炎の検査方法と手順が知りたい!かかる時間や日数は?

 

続いてロタウイルスの症状・合併症です。

ロタウイルス胃腸炎の症状は?

感染からおよそ2日間の潜伏期間を経て、ロタウイルス胃腸炎は発症します。

症状としては、発熱・腹痛・嘔吐などを伴う激しい下痢を認めます。

突然の嘔吐として発症することが多く、咳や鼻水などの風邪症状も認めます。

ロタウイルスの下痢はいつまで続くのでしょうか?

下痢の症状はおよそ1週間続きます。

下痢の特徴はありますか?

ロタウイルス腸炎の下痢の特徴としては、水様性下痢です。

つまり、水みたいな下痢だということです。

ときに白色化することがありますが、出血は通常認めないのが特徴です。

また下痢は通常強く、高度の脱水になりやすいので、十分な量の飲み物を摂取することが重要です。

症状自体は1週間続きますが、便からロタウイルスが出るのは症状が出現する数日前からおよそ10日に渡ると報告されています。

つまり、感染から発症までが2日ですので、感染から数日〜12日程度は、便からロタウイルスが出ているということです。

逆に言えば、この期間であれば周りの人にうつす可能性があるため、手洗いの徹底が重要となります。

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ロタウイルス胃腸炎の合併症は?

ロタウイルス腸炎は、下痢症状が強いため、それだけでも重症化することがあるのですが、さらに注意するべきが合併症です。

ロタウイルス胃腸炎との関連が示唆された合併としては

  • 中枢神経系:胃腸炎関連けいれん熱性けいれん、髄膜炎、脳症、ギランバレー症候群、ライ症候群、出血性ショック脳症症候群
  • 消化器系:腸重積、胆道閉鎖、壊死性腸炎、肝障害、消化管出血・潰瘍、急性膵炎、蛋白漏出性胃腸症
  • 腎・尿路系:急性腎不全、高尿酸血症、尿管結石、溶血性尿毒症性症候群、ネフローゼ症候群
  • 呼吸器系:間質性肺炎
  • 血液系:血球貪食症候群、DIC(播種性血管内凝固症候群)、菌血症
  • 筋系:横紋筋融解症、筋炎
  • その他:低カルシウム血症、1型糖尿病、乳幼児突然死症候群

が挙げられます2)

中でも胃腸炎関連けいれん熱性けいれんは頻度が高いことで知られています。

重篤な疾患としては、脳症や、菌血症が挙げられます。

最後に治療について見て行きましょう。

ロタウイルス胃腸炎の治療法は?薬はある?

ロタウイルスに対する特異的な抗ウイルス薬はありません

ですので、対症療法を行うことになります。

  • 下痢が強い場合は、十分な水分を摂取すること。(場合によっては点滴)
  • 吐き気が強い場合に、吐き気止めの内服薬や座薬。
  • 腸内細菌を整えるために、整腸剤を内服。

とくに、十分な水分摂取が重要です。

下痢止めは使わないのですか?
下痢止めは基本的には用いません。

下痢症状が辛い場合であっても基本的にはどんどんウイルスを出した方が良いので、とくに症状が出てから早い段階では使わないのが一般的です。

また、ウイルスですので、抗生物質(抗菌薬)は用いません。

逆に、抗生物質を投与することにより、腸内細菌のバランスが崩れて、下痢症状が止まるのが遅くなると言われています。

最後に

乳児の下痢症の最大の原因となるロタウイルスについてまとめました。

  • ロタウイルスは6ヶ月〜2歳の乳幼児に多い。
  • ロタウイルスは冬から春にかけて流行する。
  • 感染経路は経口感染(糞口感染)である。
  • 主な症状は、水様性の下痢である。
  • 診断には迅速キットを用いることがある。
  • 治療はロタウイルスに特異的に効果的な薬はなく、対症療法しかない。
  • とくに脱水には注意が必要である。

という点がポイントです。

時に重症化するため、予防接種としてのワクチンの接種や手洗いの徹底がとにかく重要です。

参考になれば幸いです( ^ω^ )

参考文献
1)感染性腸炎A to Z 第2版 P186-187
2)最新医学 70巻11月増刊号2015年 P55(2269)