下痢や嘔吐を伴う、苦しい食中毒ですよね?
卵が原因って、ちょっと聞いたことありますが、それ以外のものも原因となるのでしょうか?
そこで今回は、サルモネラ菌(英語表記で「Salmonella」)について
- 原因(感染経路)
- 保菌期間(潜伏期間)
- 症状
- 検査
- 治療
などをまとめました。
サルモネラ菌に感染する原因は?
鶏卵や肉などが原因となります。
- 産卵後に卵の表面が、糞便により汚染され、それが卵殻を通過して身の部分まで汚染する
- 卵殻に付着した菌が、食品を二次汚染する
- 親鶏が卵巣に菌を持っており、それが卵黄に付着したまま排卵したために、内部に菌を持った卵を産卵する
ということが考えられます。
また、肉の場合、鶏肉やレバ刺しなどが代表的です。
その他では・・・まれな例ですが、犬や亀などのペットを介した感染もあります。
サルモネラ菌に感染して発症するまでの保菌期間(潜伏期間)は?
サルモネラ菌の保菌期間は、8〜48時間です1)。
そうなんです。
多くは1日以内、長くても2日以内に発症するというわけです。
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サルモネラ菌に感染した場合の症状は?
- 発熱
- 水様下痢
- 腹痛
- 吐き気
- 嘔吐
発熱は39度を超えることもあり(平均38.7度)、水のような下痢や腹痛が特徴的です。
サルモネラ菌に感染した場合、2〜3割に血便が見られます2)。
しかし、サルモネラ菌による食中毒は、細菌性腸炎の中でもっとも重症とされるひどい症状となり、腸管外症状が起こることもあるのです。
腸管外症状とは?
- 肝障害
- 腎障害
- 髄膜炎
- 骨髄炎
- 関節炎
- 横紋筋融解症
- 多臓器不全
などの報告があり、死亡例もあります。
サルモネラ菌に感染したとどんな検査でわかる?
- 臨床症状
- 便培養
- 内視鏡検査(腸液の培養)
- 生検培養
などで診断されますが、直前に口にしたものなどから原因を探ります。
内視鏡検査では、多彩な像を示し、特徴的な所見はないものの、浮腫・粘膜内出血・びらん・浅い潰瘍が多く見られます。
また、血清型により2,500種類に分類されます。
サルモネラ菌に感染した場合の治療法は?
- 水分補給
- 電解質の補正
など、脱水症状を防ぐための対処療法が優先されます。
また、これ以外には、ニューキロン系抗菌薬を一週間ほど投与し、10日以上経過した後に便培養を行い菌が消えたことを確認します。
参考文献:
1)消化器疾患ビジュアルブック P92
2)感染性腸炎 AtoZ 第2版 P24
最後に
サルモネラ菌について解説してきましたが、ポイントをまとめます。
- 鶏卵や肉などが原因となる
- サルモネラ菌の保菌期間は、8〜48時間
- 水のような下痢や腹痛が特徴的
- 腸管外症状の報告もあり、重症例では死亡となることも
- 菌の特定のために、便培養・内視鏡検査(腸液の培養)・生検培養を行う
- 治療法としては、脱水症状を予防するための対処療法が優先される
目に見えない菌を予防するのはなかなか困難でもありますが、食中毒を甘く見ず、安静にして水分補給を怠らず、菌が排出されるのを待ちましょう。