「下痢症状がつらい・・・。
もしかして食中毒?1週間前に鶏肉を食べたけど・・・。」
その原因はもしかしたら、カンピロバクター腸炎かもしれません。
食中毒の一つとして知られるカンピロバクターですが、知っておくことで疑うことができます。
食中毒はまず疑うことが重要です。
そこで今回はカンピロバクターの
- 原因菌
- 感染経路
- 潜伏期間
- 症状
- 検査
- 治療
について、まとめました。
カンピロバクター腸炎の原因は?
カンピロバクター腸炎の原因菌は、グラム陰性桿菌に分類されるCampylobacter属の
- C.jejuni(カンピロバクター・ジェジュニ)
- C.coli(カンピロバクター・コリ)
の2種類がありますが、ジェジュニが95%以上を占めます。
ジェジュニは、ニワトリ、野鳥といった鳥類のほか、ウシやヒツジなどの腸管内に常在菌として存在します。
カンピロバクターの感染経路は?
- 汚染された水や食物
- 鶏肉やその加工品
を経口摂取することによって感染します。
菌の量が少なくても感染してしまうのが特徴です。
現在では、細菌性の食中毒でこのカンピロバクター腸炎が最多となっています。
カンピロバクター腸炎の潜伏期間は?
カンピロバクターの潜伏期間は2-5日です。
ただし、ときには10日程度のこともあります。
他の食中毒と比較して潜伏期間が長いのが特徴です。
鶏肉をはじめとした肉類に含まれることが多く、1週間前くらいに、鶏肉、とくに生の肉を食べた記憶がないかを確かめることが重要です。
カンピロバクター腸炎の症状は?
カンピロバクター腸炎の症状は、
- 下痢
- 血便
- 発熱
- 腹痛
- 嘔吐
などです。
下痢は単なる下痢ではなく、腐敗臭のする下痢や胆汁色水様便(緑色がかった水様便)が多いとされます。
症状の出る順番としては、発熱、頭痛、背部痛、めまい、悪寒などの症状が先行し、その後で下痢が起こることがしばしばあります。
熱は一時的であり、通常2-3日で解熱します。
ただし、下痢は1週間程度続くことがあり、長い場合は6週間以上続くこともあります。
症状はこれ以外にも起こることがあります。
反応性関節症(Reiter症候群)
カンピロバクター腸炎発症後から1-2週間後におこることがある関節症です。
HLA B27との関連性があると言われています。
ギラン・バレー症候群
カンピロバクター腸炎発症後から数週間後におこることがあります。
なぜカンピロバクター腸炎後にギラン・バレー症候群が起こるかというと、カンピロバクターの原因であるジェジュニの細胞壁と神経細胞表面の分子構造の相同性により、抗体が神経接合部に結合するためと考えられています1)。
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カンピロバクター腸炎の検査は?
そんなカンピロバクターに感染したということがどうやってわかるのでしょうか?
それは便を培養することです。
ただし、微好気培養に最低2日、菌の同定には3-5日の時間が必要です。
カンピロバクター腸炎の治療は?
カンピロバクターは細菌ですので、抗生物質で治療をしますが、軽症の場合は用いないこともあります。
用いる抗生物質はマクロライド系抗生物質です。
最後に
食中毒の原因として最も多いカンピロバクター腸炎についてまとめました。
- 生の鶏肉や加工品を1週間前くらいに食べた場合は、カンピロバクター腸炎を疑います。
- 潜伏期間は1週間前後と、他の食中毒よりも長いので注意が必要です。
- 確定には便の培養が必要であり、時間がかかります。
- 治療には抗生剤を用います。
これらの点がポイントとなります。
参考になれば幸いです<(_ _)>
参考文献
1)感染性腸炎A to Z第2版P14-17