「胃腸炎ってどうやって診断されるの?」
「胃腸炎って原因が様々だけどどうやって特定するの?」
「なかなか治らない胃腸炎、しっかり原因をしりたい」

そんな風に思っている方は多いのでは?

地域のかかりつけの病院では、問診で判断されることが多いものです。
インフルエンザのようにその場で原因を判断できる検査はないのでしょうか?

胃腸炎を検査するにはどんな方法があるのか、詳しく見てみましょう。

胃腸炎の検査方法

胃腸炎の検査方法には以下のものがあります。

  • ラピッドテスト(イムノクロマト法)
  • ノロウイルス抗原の「BLEIA法(ブレイア法)」
  • ウイルス分離培養・ウイルス抗体測定・細菌培養
  • 便の直接鏡検
  • 内視鏡検査
  • ヘリコバクターピロリ菌検査

です。

一つ一つ見ていきましょう。

ラピッドテスト(イムノクロマト法)

ウイルス性胃腸炎の代表的な原因であるノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスの判定に使用する迅速キットです。

ふん便に緩衝液を加え糞便懸濁液を調整します。

テストスティックに3滴ほど検体を滴下し、10分ほど放置するとそれぞれ陽性ならば、線が示され判定ができます。(陰性の場合は、コントロール(Control)のCのところにだけ線が出ます。)

インフルエンザのラピッドテストは多くの方が目にしたことがあるのではないでしょうか?
胃腸炎のラピッドテストも同じ形状をしたスティック状の紙です。

市販の妊娠検査薬も同じ方法ですね。

しかし、ウイルスの検出には限界があり、陰性だからといってウイルスがいないとは断定できません。
検査費用も3歳未満65歳以上、もしくは抗癌剤治療患者など以外は保険が適用されません。

ノロウイルス抗原の「BLEIA法(ブレイア法)」

これはノロウイルスに限定した検査方法です。

全自動生物化学発光免疫測定装置で生物発光法原理を利用して、高感度に糞便のノロウイルスを検出します。
特殊な装置が必要となり、結果が出るまで2日から8日要します。

保険適用外です。

ウイルス分離培養・ウイルス抗体測定・細菌培養

ふん便からウイルス細菌を特定します。

こちらも特殊な機器を要し、依頼してから結果が出るまで2~10日ほどかかります。

こちらも保険適用外です。

 

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便の直接鏡検

便を採取してそのまま、あるいは菌を培養してから、顕微鏡で調べる検査です。

カンピロバクター赤痢アメーバなど特徴的な形をした細菌などの特定には有用です。

内視鏡検査

胃腸の現状を把握するには一番確実と言えます。

しかし、感染症胃腸炎が疑われる場合は内視鏡を実施しない医師がほとんです。
病原体が胃腸に与える症状の特異性をみながら判断することは可能な場合もありますが症状に悩んでいる状態での内視鏡は体の負担も大きく実施する医師は少ないでしょう。

吐き気があるときに鼻や口から内視鏡カメラは入れられませんよね。
下痢の時に大腸カメラを入れることもまず考えられません。

症状も強く自然治癒が一般的な感染性胃腸炎ではその必要性は低いでしょう。

慢性的胃炎には直接胃腸を確認できる内視鏡は有効ですね。

ヘリコバクターピロリ菌検査

繰り返す胃炎の原因は、ヘリコバクターピロリ菌の可能性も考えられます。
今までは胃の特定な病気にかかった人のみが保険適用となっていましたが、「ヘリコバクターピロリ感染胃炎」が保険適用になったことで、胃腸に不安のある人にとって検査しやすい環境になりました。

ピロリ菌が胃に住み着くと胃の粘膜を傷つけ、胃や十二指腸潰瘍原因になったり慢性的胃の不調起こしてしまうのです。

ピロリ菌の感染が認められれば、抗菌薬2種類と、その効果を高める胃薬を1週間服用することで約80%の方が治療が可能です。
除菌が完成しなかった場合は別の除菌薬の服用をして治療に望みます。

治療の確率が高いため慢性で悩んでいる方はやっておきたい検査です。ピロリ菌の検査には内視鏡を使用する場合と使用しない場合があります。

内視鏡をしない方法は簡単にでき体への負担が少ないのがメリットです。
呼気や血液、糞便から検査が可能です。

内視鏡を使う場合は直接潰瘍などの所見があるかを確認できるメリットがあります。
同時に採取した胃粘膜を培養して判定する場合は5~7日ほど要します。

特殊な反応液との反応を見たり、顕微鏡で探す方法もあります。

 

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胃腸炎の検査の特徴は?

胃腸炎の検査には多くが特殊な方法をとったり日数を要するものです。
急性の場合は問診を中心として、医師が必要と判断したときのみ検査を行うことが一般的です。

検査結果が出る頃には自然治癒力により症状が改善に向かっていることが多いものです。
インフルエンザのように、抗ウイルスがあれば検査の必要性もありますし、会社や学校の出席停止の証明のためにもはっきりさせておくことが大事ですよね。

しかし、胃腸炎の場合は治療薬がないことや、出席も決まった停止期間はなく、下痢が治まったら診断書がだされることが多いため、検査を必要とするケースが少ないのも事実です。

会社などで診断書が必要とされている場合は1週間停止が多いようですが、医師の出席許可の判断は問診で診断する場合が多いでしょう。診断書提出の際には原因を特定する検査が必要なのか会社に確認するとよいでしょう。

食品を扱う方も検査を必要とする場合があります。

また、慢性的な症状に内視鏡は有用で、原因を突き止め治療に役立てることができるでしょう。

最後に

胃腸炎の検査にはいろいろな方法がありました。

しかし、大掛かりで日数がかかるものがほとんどで、また迅速なものは検査結果が正確でない可能性があることがお分かりいただけたでしょうか?

検査の必要性は医師が判断します。

まずは問診となりますので、自分の症状や、その経過をしっかり把握することが大切ですね。
感染性胃腸炎の場合は感染しやすい食材もあるので心当たりがあれば医師に伝えましょう。

状況にあった対応で胃腸の健康を保ちましょう。