「南方先生、コロリでございます!」
のフレーズ(ドラマ仁より)でも同じみコロリは、正式名称をコレラ菌といい、日本では江戸時代をはじめとし何度か大流行した時期があり、多くの死者を出してきました。
しかし、そのコレラ菌とはどういうものなのか?
詳しくご存知ない方も多いですよね。
そこで今回は、コレラ菌(英語表記で「Vibrio cholerae」)について
- 症状
- 感染経路
- 潜伏期間
- 検査
- 治療法
などをまとめました。
コレラ菌とは?症状は?
コレラ菌は、1884年に発見された(発見者はドイツの細菌学者ロベルト・コッホ)Vibrio属のグラム陰性桿菌で、1本の鞭毛を有しています。
- 下痢
- 嘔吐
で、突然発症します。
他の感染性胃腸炎と異なり、発熱や腹痛はほとんど見られません。
- 黄褐色の下痢便(初期)
- 米のとぎ汁様白色下痢便(多量な場合)
などですが、重症な場合、1日に10Lを超える下痢となることもあります1)。
コレラ菌の合併症
脱水症状や電解質喪失(低カリウム血症)が主な合併症ですが、起こった場合、以下のような症状が現れます。
- 体重減少
- 血圧低下
- 乏尿
- 無尿
- ショック
- 意識障害
- 不整脈
- 腸閉塞
- 下肢のけいれん
コレラ菌の感染経路は?
- 魚介類
- 水
が感染源となります2)。
はい。
経口的感染をします。
日本では、江戸時代から発生が見られ、安政年間に大流行しましたが、上下水道設備の発展とともに減少しています。
しかし、そのほとんどは輸入感染症ですし、ごく一部に見られる国内発生についても、輸入食品によるものです。
[adsense]
コレラ菌の潜伏期間は?
1〜5日の潜伏期間を経て発症します3)。
ちなみに、中には数時間の潜伏期間で突然の下痢で発症することもありますが、多くは1日前後で、発症後すぐの2日間がもっとも激しい症状が出現する傾向です。
コレラ菌の検査は?
- 内視鏡
- 便検査
などで検査しますが、診断には便検査(コレラ毒素産生性コレラ菌の検出と文力んでの毒素の確認)が有用です。
コレラ菌の治療は?
- 抗菌薬の経口投与
- 脱水治療
が主になります。
- ニューキノロン系(成人)
- ホスホマイシン(成人・小児)
- ノルフロキサシン(小児)
などを用いることが多くあります4)。
参考文献:
1)3)4)感染性腸炎 AtoZ 第2版 P86 〜87
2)消化器疾患ビジュアルブック P92
参考サイト:
5)輸液製剤協議会
6)抗菌薬開発の現状と展望
最後に
コレラ菌について、ポイントをまとめます。
- コレラ菌は、1884年に発見された、Vibrio属のグラム陰性桿菌
- 下痢や嘔吐が特徴
- 重症な場合、1日に10Lを超える下痢となることもあり、脱水症状が怖い
- 汚染された魚介類や水による経口感染
- 1〜5日の潜伏期間
- 発症後すぐの2日間がもっとも激しい症状が出現する傾向
- 診断には便検査が有用
- 主な治療は、抗菌薬の経口投与や脱水治療
江戸時代をはじめとする昔、今のような点滴(日本では1960年代に入り発売された5))や抗菌薬(1946年にペニシリンが使用され始めた6))がなかったため、コレラ菌により多くの死者を出して来ました。
現代では、薬の進歩とともに感染予防の知識も民間に根付いてきたため、コレラ菌による死亡例を耳にすることは減少しました。
しかし、そのような過去の例を見ても、脱水症予防の大切さがわかりますよね。