感染性胃腸炎やストレス性胃腸炎になると・・・激しい症状や、常に感じる不快感。
「もうヤダ!」
「いつまで我慢したらいいの?」
そんな風に不安になっている人も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は胃腸炎の回復までにかかる期間について
- 原因菌
- 期間
- 症状
- 経過
などを、お話ししたいと思います。
胃腸炎から回復するまでの期間は原因によって異なる!
胃腸炎といっても、その原因は様々。
その時の体の免疫力にも左右されますが、原因となる病原体や要因によっても変わってきます。
まずは、どんな経過をたどるのか目安を知るためにも、自分の胃腸炎がどの種類かを把握しておきましょう。
胃腸炎には、
- 感染性
- ストレス性
とありますので、それぞれについてどんなものがあるのか、挙げていきますね。
感染性胃腸炎
病原体に感染したことによる胃腸炎を「感染性胃腸炎」といい、感染を機に症状が起こりますので、症状は急性です。
感染性胃腸炎とは、大きく分けて
- 細菌性
- ウイルス性
- 寄生虫
という3種類があります1)。
細菌性胃腸炎
主な細菌は、
などがあります。
ウイルス性胃腸炎
- ノロウイルス
- ロタウイルス
- アデノウイルス
などが一般的です。
寄生虫性胃腸炎
- アメーバ赤痢
- ランブル鞭毛虫
などがあります。
ストレス性胃腸炎
ストレスや胃腸への過度な負担による胃腸炎を、ストレス性胃腸炎といいます。
突発的に現れたものを急性、繰り返したり完治しないまま症状が残ってしまうものは慢性といえるでしょう。
胃腸炎から回復するまでの症状や期間を原因別に解説
感染性胃腸炎である、細菌性・ウイルス性・寄生虫性、ストレス性胃腸炎に分けて説明します。
細菌性胃腸炎の主な症状と経過
一般的に食中毒とも呼ばれています。
主な症状は
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
- 発熱
です。
下痢は、水様便で血便も見られることがあります。
症状は数日続いた後、ゆるやかに改善の兆しを感じられることが多いでしょう。
病原体や体質、免疫力によって差があります。
嘔吐にしても1~2日間で頻繁にある場合や、1日数回が3~4日続く場合があり、下痢は3日~1週間以上続くものもあります。
それは原因菌によっても異なりますし、患者の基礎疾患・年齢でも違いが出るためです。
- サルモネラ菌・・・1週間程度
- 腸炎ビブリオ・・・数日以内
- カンピロバクター・・・1週間程度(2〜3日で解熱)
- 病原性大腸菌・・・1週間程度
- ボツリヌス菌・・・数日〜数ヶ月2)
基本的には自然治癒しますが、続く嘔吐や下痢、また発熱による脱水症が心配です。
0-157では出血性大腸炎が起き血便があったり、それが続くと乳幼児や高齢者では溶血性尿毒症症候群や脳症などをきたす場合もあるので、続く血便には注意しましょう。
他にも、手足の麻痺や複視・視力障害・嚥下障害などが現れたら、ギランバレー症候群などの合併症の可能性もあるので、その後の体調管理には気を使いたいものです。
痛みがひどいときや、症状が重篤な場合は、特別な処置が必要となりますので専門医に相談をしましょう。
ウイルス性胃腸炎の主な症状と経過
主に、お腹の風邪と言われることがあります。
- ノロウイルス・・・3〜7日・長い場合は1ヶ月かかることも
- ロタウイルス・・・1週間程度
- アデノウイルス・・・1週間以上3)
発症したときは強い吐き気と下痢が起こりますが、嘔吐は1~2日程で次第に落ち着き、水様の下痢も3~4日程で落ち着きます。
乳幼児に多いロタウイルスの場合は下痢症状が長く、お米のとぎ汁のような白い水様便が特徴で、1週間ほど続きます。
ほとんどの人が、5歳までに感染する胃腸炎とされています。
細菌と同じく自然治癒するもので、治療する薬はないので服用するのは整腸剤が一般的です。
症状が重い場合は専門医の指示を受けましょう。
寄生虫性胃腸炎の主な症状と経過
寄生虫というと怖く感じますが、発展途上国での感染・男性同性愛行為・知的障害施設・汚染物質からの経口摂取などでの感染が多くあります。
- 下痢
- 発熱
- 腹痛
などのほか、下痢に粘液や血液が混じることもあります。
- アメーバ赤痢・・・数ヶ月〜数年(症状が治まったり、ぶり返したり)
- ランブル鞭毛虫・・・1〜2ヶ月4)
などと、他に比べて長く、回復とぶり返しを繰り返したり、合併症を伴うこともあります。
ストレス性胃腸炎の主な症状と経過
ストレス性胃腸炎の場合は、感染性のように激しい嘔吐は稀です。
症状は
- 胃痛
- 腹痛
- 吐き気
- 下痢
その他にも、胃もたれなどの不快感があります。
激しい症状は少ないにしても、経過がよめないのがツライところです。
主な原因は
- 精神的ストレス
- 暴飲暴食
- 薬の服用による胃への負担
などです。
「早くこの症状を取り除きたい。」
そう思ったら、原因を排除しなくてはなりませんが、そう簡単にはいきませんよね。
ストレスを感じる環境だったり、ストレスを感じやすい体質、また生活習慣に関わるものは簡単に排除できる要因ではありません。
胃腸の薬を服用しても、そのような要因が続く場合は、薬によって症状を抑えているに過ぎず完治が難しい場合が多く、慢性化しやすいのが特徴です。
精神的ストレスが原因の場合は、心療内科の診察や精神安定剤の服用が有効な場合も見られます。
病原体の仕業による症状でなくても胃腸が弱っていることに変わりはないので、胃腸に負担のある食べ物は避けましょう。
消化のいい食事を心がけ、症状を悪化させないように気をつけましょう。
胃腸炎の完治はいつ?
症状がなくなっても感染性の場合、ノロウイルスなどの病原体は便の中に現れます。
そう考えると、症状は治まっても完治とはいえず、周りへの感染に気を配る必要があります。
また、内視鏡検査をすると、それぞれ特徴的な所見がみられることも多く、胃腸の回復にも時間が必要でしょう。
感染性にしてもストレス性にしても、症状が治まったからといって時間をおかずに動物性脂質や刺激物の摂りすぎはオススメできません。
病み上がりの胃腸は、まだ本調子ではないため不快感を伴う可能性があります。
胃腸炎は、その時の体の状態だけでは完治したかの判断が難しいものだと言えますね。
参考文献:
1)消化器疾患ビジュアルブック P91〜93
2)3)4)感染性腸炎 AtoZ 第2版
ノロウイルス現場対策 その感染症と食中毒 P14
INVECTION CONTROL 2016vol.25 P
最後に
胃腸炎で回復するまでの期間をお話ししてきましたが、ポイントをまとめます。
- 回復までの期間は、原因によって異なる
- 細菌性胃腸炎は、1日~1週間ほど続く
- ウイルス性胃腸炎の場合の症状は、発症後から改善方向へすすみ、数日ないし1週間ほどで落ち着いてくる
- 寄生虫の場合、回復までに数ヶ月〜数年かかることもある
回復までの期間は、個人差・原因差が大きく一概には言えませんが、重症化せぬよう注意する必要があります。
また、激しい下痢や嘔吐は脱水症状を招く可能性があるため、注意が必要です。
また、菌が排出され続ける期間は、手洗いを徹底するなど、二次感染を防ぐために注意も必要となります。