感染性胃腸炎になった場合、どのような治療方法があるのでしょうか?
- 抗生物質が必要なのか
- 下痢止めは必要なのか
悩ましいですよね。
下痢なんだから下痢止めは必要でしょ!と思ってしまいがちですが、実はそうではないのです。
今回は感染性胃腸炎の治療方法についてまとめました。
感染性胃腸炎の治療は?
感染性胃腸炎の原因で最も多いのはウイルス性であり、血便などを伴う場合には細菌性を疑う必要があると言われます。
また、感染性胃腸炎は一般的に自然治癒していくケースが多く、対症療法で治療されます。
対症療法とは、
- 補液(輸液)
- 食事療法
- 対症薬物療法
です。
補液(輸液)
感染性胃腸炎では、下痢症状が強いことが多く、また嘔吐を伴うことがあり、脱水になりがちです。
ですので、十分な水分補給が必要となります。
水やお茶による水分補給でもかまいませんが、ベストなのはOS-1などの経口補水液です。
嘔吐が強く、飲めない場合は、医療機関において点滴(輸液)を行うことがあります。
この場合、乳酸リンゲル液、生理食塩水など血漿と浸透圧が等しい「等張液」が点滴する輸液として選ばれることが多いです。
薬物療法
急性胃腸炎の治療で用いられる薬剤は、
- 整腸剤・乳酸菌製剤
- ときに吐き気止め
- ときに抗生剤
となります。
整腸剤・乳酸菌製剤
整腸剤・乳酸菌製剤は、腸内細菌叢を整える(回復させる)ために用いられます。
ビオフェルミン®やラックビー®などがこれに相当します。
3日分飲みきりなどで処方されることが多いです。
この整腸剤は薬局などでも購入することができます。
吐き気止め
吐き気止めは吐き気が強い場合、頓服で用いられることがあります。
吐き気が強くて飲めない場合は、座薬の吐き気止めが出されることもあります。
ナウゼリン®などがこれに相当します。
ちなみに、下痢を止める止痢薬や、腸管の動きを抑える鎮痙剤(ブスコパン®など)は急性胃腸炎では、通常用いません。
これらを用いることにより、病原体を腸管の中にとどまらせる時間が長くなってしまうためです。
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抗生剤
感染性胃腸炎の多くを占めるウイルス性の場合、抗生剤は必要ありません。
抗生剤とは抗菌薬、抗生物質とも呼ばれ、あくまで細菌に対して用いるものです。
抗生剤はこの細菌に対して効果を認め、症状の軽減と人にうつす(他人への二次感染)のを防ぐという目的で投与します。
ただし、初診時に細菌性が疑われても、原因がわからない場合が大半です。
初診時に用いられることが多い抗生剤
用いられる抗生剤は通常経口抗生剤で、
- ニューキノロン系抗生剤
- ホスホマイシン
のいずれかが3-5日程度処方されます。
小児の場合は、安全性の面からホスホマイシンが投与されることが多い1)です。
また、鶏肉などの摂取があり、カンピロバクター腸炎が最初から疑わしい場合は、マクロライド系抗生剤が用いられます1)。
感染性胃腸炎の抗生剤の治療期間(投与期間)は?
抗生剤は、症状が消えた時点で菌が消失したと考え、飲むのをやめて大丈夫ですが、サルモネラ腸炎の場合は、解熱後も菌が残っていることがあるため、解熱後2日間は投与を行います1)。
最後に
感染性胃腸炎の治療法についてまとめました。
- 補液・食事療法・薬物療法が基本である。
- 薬物療法では、整腸剤・乳酸菌製剤、ときに吐き気止め、ときに抗生剤が用いられる
- 下痢止めや、鎮痙剤は胃腸炎の場合は用いない
という点がポイントになります。
参考文献)
1)感染性腸炎A to Z第2版 P10-11