嘔吐したら赤かった

そんな状況に陥ったら驚かない人はいませんよね。

赤いということは血が混じっているということです。

しかし、身体の中のどこから出血が起こっているのか、とても不安になります。

そこで今回は、赤い嘔吐物が出る場合、何が原因となるのかお伝えしたいと思います。

吐血(とけつ)と喀血(かっけつ)の違いは?

まずは吐血と喀血の違いを見ていきましょう。

血を吐くといっても、口は

  • 食道や胃などの消化器
  • 肺や気管支などの呼吸器

の両方とつながっています。

消化器、呼吸器どちらからの出血なのかにより、同じ血液を吐いたとしてもその呼び方や性質は異なります。

吐血、喀血ともに血を吐くという点では同じですが、どのような違いがあるのでしょうか?

吐血とは?

「吐血(とけつ)」は上部消化管からの出血した場合に見られます。

血液は胃酸で黒く変化するため、赤い血が認められた場合は口に近い食道の出血や、十二指腸などであっても出血量が多い場合と言えます。

また鼻や口腔内の出血を飲み込んだ際にもみられる可能性があります。

吐血の場合は、通常胃酸により黒く変化するために嘔吐物が黒い場合があります。

嘔吐物が黒い場合はこちらにまとめました。→【図解】嘔吐物の色が黒い場合の原因まとめ!

喀血とは?

一方で、「喀血(かっけつ)」肺や気管支からの出血です。

血痰(けったん)は痰の中に血液が混じることを言いますが、喀血はほぼ血液そのものを吐いてしまうことを言います。

喀血を引き起こす原因は、肺炎、肺がん、結核、気管支拡張症、心不全など様々な呼吸器の病気が考えられます。

吐血と喀血の違いですが、吐血は嘔吐に伴い、喀血はに伴って起こることが一般的です。

喀血を飲み込んで吐血する場合もあるのでそれまでの経過をしっかり把握して吐血か喀血かを見極めましょう。

【吐血と喀血の違い】

  • 吐血・・・嘔吐に伴い血液を吐くことで上部消化管からの出血が原因。鮮やかな赤い血の場合は食道の裂傷や胃や十二指腸からの大量出血が考えられる。
  • 喀血・・・咳に伴い血液を吐くことで呼吸器からの出血が原因。鮮やかな赤い血を吐く。

 

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これらの違いを踏まえた上で、嘔吐物が赤い場合にはどのような原因があるのかをみていきましょう。

嘔吐物が赤い場合の原因は?

嘔吐物が赤い、つまり血液が混じっている場合の原因には、

  • 気管支拡張症
  • 肺炎(細菌、結核、非結核性抗酸菌、アスペルギルスなど)
  • 肺胞出血
  • 肺癌
  • 気管支癌
  • 肺水腫、心不全
  • 肺動静脈瘻

などの呼吸器系・循環器系の病気が挙がります。

さらに、

  • マロリー・ワイス症候群
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍

といった消化器系の病気による大量出血の場合も原因となります。

今回は、このうち3つの原因について見ていきましょう。

気管支拡張症

気管支拡張症は喀血の原因として最も多い疾患です。

様々な原因で文字通り、気管支が拡張し、気管支の壁が厚くなります。
その原因とは、感染症、気道閉塞、先天異常などがあります。

拡張した気管支のまわりには、大動脈から直接分岐する気管支動脈が増生します。
増生した気管支動脈はもろく破綻しやすい特徴があり、破綻をすると大量出血を起こし喀血を起こします。

マロリーワイス症候群

赤い嘔吐物が見られたとき、マロリーワイス症候群であることは少なくありません。

マロリーワイス症候群とは食道と胃のつなぎ目付近の粘膜が裂傷して出血する疾患です。
嘔吐とともに血が混じった嘔吐物が見られます。

「アルコールの飲みすぎで血を吐いてしまった」そんなときはマロリーワイス症候群の可能性が高いでしょう。

アルコールは胃内容物の逆流を防ぐ筋肉を緩めてしまうので胃から食道に圧がかかるためマロリーワイス症候群を引き起こしやすいと言えます。

しかし、アルコールばかりが誘因ではありません。
急激に腹腔内圧が加わるその他の要因としては、嘔吐の繰り返し、咳、くしゃみ、排便、分娩などがあります。

多くは自然に止血して治るので特別な治療を必要とせず、経過を観察します。
出血の量が多い場合はまよわず受診しましょう。
食事をせず点滴を要したり、傷が深く出血が止まらない場合は内視鏡で止血治療などを行います。

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胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃や十二指腸にできた潰瘍が進行して出血を伴うことがありそれが吐血となります。
潰瘍の出血はジワジワと出血するものから動脈が損傷して大量出血となる場合はがあります。

ジワジワと出血する場合は胃酸によって吐き出す血はどす黒くなりますが、大量に出血した場合は血液の赤い色のまま吐血することになります。

さらに進行して穴があいてしまう穿孔(せんこう)が起こると激しい痛みが起こり、腹膜炎を起こし重篤になる恐れがでてきます。

胃腸の不快感や痛みなど潰瘍の症状があり、激しい痛みと吐血がみられたらすぐに医療機関を受診しましょう。

最後に

赤い血を吐いてしまったときに考えられる病気についてお伝えしました。

「吐きすぎて血がでた」ということもあります。

そのような食道付近に裂傷が起こるマロリーワイス症候群であれば自然に止血するのを待ちましょう。
潰瘍からの出血により吐血が大量だったり止血しない場合は医療機関を受診しましょう。

内臓の出血は自分の目で外から確認することはできません。
自己判断で重篤化することは避けたいものですね。

おかしいと思ったら迷わず受診することをおすすめします。