「胃腸の調子が悪い」
それは、細菌やウイルスが原因の感染性胃腸炎?
それとも、ストレスが原因のストレス性胃腸炎?
自分ではなかなか判断がつきませんよね?
感染性胃腸炎とストレス性胃腸炎では、同じ胃腸炎でも原因や症状、対処方法も違ってきます。
違いを理解し、少しでも早く胃を楽にしてあげるために・・・
今回はストレス性胃腸炎と感染性胃腸炎について
- 原因の違い
- 前兆や症状の違い
- 見分け方
など、気になるあれこれを解説していきたいと思います。
ストレス性胃腸炎や感染性胃腸炎とは?原因の違い
まずは、ストレス性胃腸炎と感染性胃腸炎、それぞれ原因の違いについて知っておきましょう。
ストレス性胃腸炎
神経性胃炎や過敏性腸症候群(IBS)、機能性ディスペプシア(FD)ともいいます。
内視鏡で検査をしても異常が見つからず、それでも胃や腸に違和感・痛み・吐き気など不快な感覚を引き起こす疾患です。
また原因として挙げるならば、個人差はありますが、
- ストレス
- 抑うつ感
- 不眠
- 不安感
- 意欲低下
など代表的です。
しかし、ストレスと聞くと精神的なストレスばかりを想像していませんか?
原因となっているストレスは、精神的ストレスだけではないのです。
胃腸に負担をかけることでも、胃腸のストレスが生じます。
たとえば・・・暴飲暴食や薬の服用です。
胃への刺激が強いと、胃の働きが追いつかず、悲鳴をあげてしまうのです。
ストレス性の場合は、急性の場合もありますが、そのような生活習慣が関わっていることがほとんどで、症状は次第に自覚してくることが多くあります。
ストレスにより、自律神経が乱れて胃腸の働きを低下させたり、胃酸が多く分泌されることがあるため、胃腸炎となるのです。
重症化すると、自分の胃酸で胃にダメージを与え、潰瘍ができてしまう場合も少なくありません。
感染性胃腸炎
感染性胃腸炎は、夏や冬に大流行する細菌やウイルスが原因の胃腸炎です。
細菌によるもの
- 黄色ブドウ球菌
- ボツリヌス菌
- 腸炎ビブリオ
- サルモネラ
- O-157
などがあります。
ウイルスによるもの
- ノロウイルス
- ロタウイルス
- アデノウイルス
などがあります。
これらの病原体が排泄物などを介し、飛沫感染する(主に口から吸い込んでしまう)ために起こります。
病原体により症状に多少の違いはありますが、その多くは腸で病原体を増殖させることにより、嘔吐や下痢といった症状を起こしてしまうのです。
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前兆や症状に違いはあるの?
ストレス性胃腸炎の症状
ストレス性胃腸炎の場合は、急なストレス、もしくは慢性的なストレスにより始まります。
よくみられる症状は
- 胃のムカムカ・胸焼け・もたれ感
- 胃の痛み
- 吐き気
- みぞおちの灼熱感や痛み
- 食欲がでない
- すぐにお腹がいっぱいになってしまう
- 胃酸が上がってくる感じがする
- 不眠・怠い
- おならやゲップがよくでる
などです。
これらの症状がさらにストレスとなり、悪化したり、慢性化となってしまうこともあります。
感染性胃腸炎の症状
主な症状は、
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
- 発熱
- 全身倦怠感
などです。
感染性胃腸炎の場合、原因となる菌やウイルスによって違いはあるものの、残念ながらほとんどの場合前兆がなく、急に激しい症状に見舞われます。
感染から発症まで比較的長いものもあり、「少しもたれてるかな」くらいの自覚症状はあるかもしれません。
体調や年齢によっても症状の出方は違うので一概には言えませんが、細菌によるいわゆる食中毒も、ウイルスによるノロウイルスなども、急に下痢や嘔吐に襲われるのことがほとんどです。
回復までの期間に個人差はありますが、数日で症状は落ち着いてもその後もしばらく病原体が排泄されるので、消毒や密な接触を避けるなど感染させない対策を続ける必要があるでしょう。
ストレス性か感染性か?見分けることはできるの?
こんな症状ならストレス性胃腸炎かも・・・
- 日頃から胃腸の不調を感じている(胃もたれ・膨満感・食欲不振など)
- 薬を服用して、胃が荒れた感じがする
- 暴飲暴食で、生活習慣が乱れている
- みぞおちの不快感がある(痛み・灼熱感)
- おならやゲップがよくでる
しかし、ストレス性の場合は、検査で異常を認めなかったというのが前提です。
同様の症状があったとしても、検査をして他の病気を除外する必要があります。
こんな症状なら感染症胃腸炎かも・・・
- 突然激しい嘔吐や下痢に襲われた
- 腹痛や発熱を伴う
- 感染しやすい生ものを食べた(二枚貝や生肉など)
- 感染性胃腸炎の人と深く接触した
- 周囲で感染性胃腸炎が流行っている(流行る季節である)
なぜなら、ストレス性の胃腸炎は慢性化しやすく、そこで新たに感染性胃腸炎に感染することも考えられます。
また、症状がそこまでじゃないからとストレス性を疑っても、個人によって症状の出方が違うので、感染性であることも考えられるのです。
- 自己判断で、悪化や感染を広めてしまう可能性も!
- まずは、専門の医師に診てもらいましょう
ストレス性胃腸炎の場合はそのままにしておくと慢性化しやすく、回復までに長い時間を要してしまい、場合によっては悪化してしまうことも少なくありません。
感染性胃腸炎の場合は感染力が強いので消毒や予防を徹底して、周りの人へうつすなどして拡大させない配慮が必要です。
とくに、自分でストレス性と思い込んでいたために、病気を見逃してしまうという危険性もあります。
ストレス性胃腸炎か感染性胃腸炎か判断に迷ったら、まずは専門の医師にかかって、指示を仰いだほうが安全でしょう。
参考文献:
消化器疾患ビジュアルブック P138・139
病気がみえる vol.1:消化器 P90・91・142・143
step beyond resident胃腸炎 6章
最後に
ポイントをまとめます。
- ストレス性の胃腸炎は、神経性胃炎・過敏性腸症候群(IBS)・機能性ディスペプシア(FD)ともいう
- ストレス性の胃腸炎は、検査しても原因となる異常などが見つからず、症状が現れる
- ストレス性の胃腸炎を放置すると、重症化して潰瘍ができることも
- 感染性胃腸炎は、細菌やウイルスが原因
- ストレス性の場合、吐き気や嘔吐・下痢などの症状とは別に、精神的症状も現れる
- 感染性胃腸炎の場合、前兆がなく、急な症状に見舞われる
- 感染性胃腸炎の場合、症状は落ち着いてもしばらく菌が排出される
- 原因や症状に違いはあるものの、なかなか判断できない場合もある
胃腸が病に蝕まれると、気分まで落ち込んでしまいます。
ストレスが胃にくることでわかるように、胃腸と脳は深い関わりがあるのです。
元気な胃腸で毎日をハツラツと過ごしたいものですね。