感染性胃腸炎の多くは、ウイルスによるウイルス性胃腸炎ですが、中にはより重症になることがある細菌による細菌性胃腸炎があります。
- ウイルス
- 細菌
どちらによる胃腸炎なのか、どのように違うのか?が気になりますよね。
「自分のこの症状は、ウイルスなのか、細菌なのか。」
「細菌だったら抗生物質をもらった方がいいのではないか。」
さまざまな疑問が出てきます。
そこで今回は、感染性胃腸炎の原因が、ウイルスなのか細菌なのかをどうやって見極めればよいのか、症状などの違いについてまとめました。
ウイルス、細菌関係なく胃腸炎のときに注意するべき人とは?
まず、感染性胃腸炎においてウイルス、細菌の違いの前に、このいずれであってもとくに注意しなくてはいけない、しっかりと経過を見ていかないといけない人がいます。
それが、
- 乳児
- 高齢者
- 免疫不全患者
です。
この場合、ウイルス性であっても脱水になり重症化することもあるので注意が必要です。
若い健康な人のように、水分をしっかり取っておけば大丈夫というわけにはいかないことがあるのです。
水分がとれない場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
ウイルス性、細菌性の違いは?
ウイルス性、細菌性の胃腸炎には症状などに違いがあります。
これらの違いを元に
「今回の胃腸炎はウイルス性ではないか。」
「細菌性なので抗生物質をもらわないといけないのではないか」
などと予想をしていきます。
ウイルス性胃腸炎の特徴
ウイルス性胃腸炎の特徴としては、大量の水様便が出ることが多いのが特徴です。
水様便とは文字通り「水のような便」であり、ほとんど便としての形をなしていないものです。
医療機関を受診すると医師から
「どんな便が出ていますか?水のような便はでていませんか?」
「おしっこのようなシャーとした便は出ていませんか?」
このような感じで聞かれます。
また、発熱や腹痛は細菌性と比べて軽度であることが多いのですが、嘔気や嘔吐が強い傾向にあります。
また便を検査すると便中に白血球は認めません。
ウイルス性胃腸炎を起こす原因初するとしては
- ロタウイルス
- ノロウイルス
- コクサッキーウイルス
- アデノウイルス
などが挙げられます。
細菌性胃腸炎の特徴
細菌性胃腸炎の特徴は、原因となる細菌により異なり、
- 小腸で炎症を起こすタイプ(急性小腸型)
- 大腸で炎症を起こすタイプ(急性大腸型)
- その混合しているタイプ(混合型)
にわけることができます。
小腸で炎症を起こすタイプ(急性小腸型)
この場合は、ウイルス性と同じように大量の水様便が特徴です。
発熱や腹痛は軽度で、嘔気・嘔吐はウイルス性よりは強くない傾向があります。
また便を検査すると便中に白血球は認めません。
ですので、ウイルス性と区別するのは困難な場合があります。
原因菌としては、
- ビブリオコレラ
- 毒素原性大腸菌
- 原虫
などが挙げられます。
大腸で炎症を起こすタイプ(急性大腸型)
一方で、大腸で炎症を起こすタイプは
- 高熱
- 少量頻回の便
- 便がネバネバして血液が混じる粘血便(ねんけつべん)
- しぶり腹(便が出そうでトイレに行くも出ないを繰り返す)
といった症状があり、発熱や腹痛が他の腸炎のタイプと比べて強い特徴があります。
また便を検査すると便中に白血球を認める点も他のタイプと異なります。
このタイプの腸炎は最も重症であり、ときに命に関わることがあります。
ですので、高熱+血便の症状がある場合は、このタイプの可能性があり要注意です。
原因菌としては、
- 腸管侵襲性大腸菌
- サルモネラ菌
- 赤痢菌
- クロストリジウム感染症
などが挙げられます。
その混合しているタイプ(混合型)
これらの小腸型、大腸型の両方の特徴を持つのがこの混合型です。
原因としては、
- 腸炎ビブリオ
- カンピロバクター
- エルシニア
などがあります。
最後に
感染性胃腸炎における細菌とウイルスの違いについてまとめてみました。
一般的にウイルス性の方が軽症であることが多いですが、ノロウイルスなど症状が決して楽とはいえないですよね。
発熱などがなく、水様便を見た場合はウイルス性の可能性が高いですが、細菌性であってもウイルス性と同じような症状となることもあります。
大事なのは、重症化することがある大腸で炎症を起こすタイプ(急性大腸型)を見落とさないことです。
繰り返しになりますが、高熱+血便の症状がある場合は、このタイプの可能性があり要注意です。
参考になれば幸いです<(_ _)>