子供が嘔吐したら病院に行くべき?
子供の嘔吐。
“病院に連れていくべき?”
“何科に受診したら?”
子供は消化器官が未熟なため、大人よりもちょっとしたことで吐いてしまうことがあります。ホームケアーで様子をみることが必要な場合も少なくありません。その反面、緊急を要する病気もあるので、迷ってしまいますよね。
まずは原因が何かを考えて、病院に連れていくべきか、何科を受診したらよいのかを考えてみましょう。
嘔吐の原因は?どう対処する?
食べ過ぎ飲み過ぎ
子供は夢中になると身体のサインに気付かないことがあります。
“食べるのが大好き”
“美味しくて止まらない”
そんな風に、つい加減をぜず食べ過ぎたり飲みすぎたりしてしまいがちです。
食べ過ぎや飲みすぎによる消化不良、または食事の後にすぐ動き出し、食べ物が逆流してしまうことがあります。嘔吐したことにびっくりして泣き出してしまうお子さんもいるかと思いますが、他に気になる症状がみられなければ受診の必要性はないでしょう。
しばらくは食べ物や飲み物は控えて、お腹を休めましょう。
苦手な味や匂い
子供は味覚も嗅覚も敏感です。
また、慣れ親しんでないものに対して過剰に反応してしまうことがあります。苦手な食べ物や飲み物、苦手な匂い、強い香りなどで、気分が悪くなり嘔吐してしまうことがあります。
無理強いしないで、必要なものであれば少しづつ慣れさせるように心がけましょう。苦手なものではあるけどいつも吐くほどではない、という場合は、風邪の引きはじめや体調が万全でない場合も考えられます。
すぐに受診する必要性はありませんが、他に症状がでないかしばらく様子をみてあげましょう。
また、アレルギー反応でないか、他にじんましんなどの発作がでていないかを確認しましょう。
急性胃腸炎
急性胃腸炎とはウイルスや細菌を病原体として発症する感染力の強い病気です。
急性胃腸炎の特徴は繰り返す嘔吐や下痢、腹痛。個人差はありますが、ほとんどの場合、嘔吐は半日ほどで徐々に治まってきます。
5歳以下の子供のほとんどが感染を経験するロタウイルスは、水様便、白色便と嘔吐を伴うのが特徴です。
カキなどの二枚貝などから感染するノロウイルスも急性胃腸炎の原因となります。ロタウイルスは冬から春にかけて流行り、ノロウイルスは秋から冬にかけて流行ります。細菌ではO-157が夏場に流行り、食中毒を引き起こします。
急性胃腸炎には特効薬はありません。
ウイルスや菌を体外に排泄しようとしている体の働きなので、嘔吐や下痢を止めるのは好ましくありません。嘔吐がひどい時期は、胃腸がまだ水分を受け付けられない時期。
飲んだら吐く、を繰り返すと水分とともに体内の電解質も奪われてしまい悪循環になってしまいます。
水分は6時間ほどあけてから少量ずつがポイントです。経口補水液を利用するなどして様子を見ましょう。
半日ほどで症状が改善する急性胃腸炎であれば慌てて受診する必要はありません。半日、または一晩たって嘔吐がある程度落ち着いてからでも遅くはないでしょう。
注意しなくてはならないのが脱水症状。
嘔吐や下痢が続くと体の中の水分や電解質が不足して脱水症状を起こしてしまう危険性があります。
元気がなくぐったりしている、汗や涙がでない、頭痛を訴えるなど、中等症以上の脱水症状がみられたら小児科、内科、総合病院などすみやかに受診し、点滴などの処置が必要であるか医師の診断を受けましょう。
虫垂炎
いわゆる盲腸です。
盲腸にある虫垂に炎症が起きる病気で、進行すると虫垂に穴があき腹膜炎を起こし重症化する恐れがあります。虫垂は右下腹部にあるので右下腹部の強い痛みがみられたら虫垂炎を疑ってよいでしょう。
小児科や内科で触診やレントゲンなどの診察を受けます。重症化している場合は手術となります。
腹膜炎の心配があるので診療時間外でも重篤な症状があれば救急外来を受けましょう。
頭部の打撲
強く頭を打った時嘔吐することがあります。脳震盪(のうしんとう)を起こして嘔吐することもありますし、頭の中で出血し嘔吐する場合もあります。
出血の場合はただちに受診が必要です。
意識障害やめまい、貧血、頭痛、嘔吐を繰り返すなどの出血のサインが現れたらただちに脳外科のある病院を受診しましょう。
一度嘔吐してケロッと元気にしている場合は問題がないことが多いですが、症状は遅れて現れることもあるので一度診察を受けたほうが安心ですね。
食物アレルギー
アレルギー反応で嘔吐することがあります。その後、元気でいるようなら様子をみましょう。
口にしたものが苦手なだけなのかアレルギーなのかはアナフィラキシーを防ぐためにもはっきりさせておきたいものです。症状が治まったとしても小児科やアレルギー科でアレルギー検査をしてどの食品にアレルギー反応するのか把握しておくことをお勧めします。
アレルギー検査は小児科、内科、アレルギー科、皮膚の症状があるのなら皮膚科でお願いしても対応してくれるでしょう。
その他に、激しいかゆみやじんましんがみられたら小児科、アレルギー科、皮膚科を受診しましょう。
呼吸困難や声が出ない、蒼白などアナフィラキシー症状がみられたらただちに小児科、内科、アレルギー科にかかりましょう。さらに悪化すると危険ですので診療時間外であれば救急外来を受けましょう。
周期性嘔吐症
元気だった子が突然何度か嘔吐し数日すると改善する、それを繰り返す疾患です。
主に3歳から13歳くらいまでの子供にみられます。
嘔吐のほかに倦怠感や顔面の蒼白、腹痛、食欲不振などの症状がみられることがあり、その程度には個人差があります。疲れなどの身体的ストレスや緊張や興奮などの精神的ストレス、または風邪などのウイルスをきっかけとして起こることが多いようです。
遠足など楽しい行事でも興奮して発作が現れてしまうこともあるので見送る親としては辛いものです。心配性や興奮しやすいお子さんに対しては気持ちを落ち着かせる環境を作ったり規則正しい生活を心がけ、身体的ストレスを軽減することも改善の方法です。
治療すべき病気が隠れていないか、一度小児科や内科で受診してみるのとよいでしょう。周期性嘔吐症は思春期になると改善されるケースがほとんどです。
信頼のおける病院で対策やアドバイスを受けると心強いですね。
腸重積
腸重積は腸が腸に入り込んでしまい閉塞してしまう病気です。
腹膜炎を起こして重症化するケースも見られます。幼児期は初期に風邪症状が現れることがあります。
嘔吐と激しい腹痛があり、特徴はイチゴジャムのような粘血便ですが、血便が見られないこともあり、他の病気との区別が難しい時があります。軽い場合は浣腸で処置できますが重症の場合は手術が必要です。
腸重積の疑いが見られたらただちに小児科、内科を受診しましょう。
心筋炎
ウイルスや細菌などによって心不全や不整脈が起こる心臓の筋肉の炎症です。
発症は稀ではありますが、重症化する為気を付けなければならない病気です。心不全が起こると呼吸困難やチアノーゼ、むくみや四肢の冷感、意識の低下がみられます。
心不全や不整脈が起こる前に頭痛や咳、腹痛、下痢、嘔吐などの風邪症状が現れます。不整脈で血液量が減り失神が起こることもあります。
初期は風邪や胃腸炎などとの区別が難しいのですが、経過とともに胸痛や動悸が現れます。
子供は胸の痛みや動悸を上手く表現することができません。
異常を感じたら再度診察を受けましょう。聴診や精密検査で診断がつきます。
信頼のおける小児科や内科、または精密検査のできる総合病院を受診するのが良いでしょう。
何科につれていくのかの判断
子供の嘔吐には様々な要因がありますね。
病院に行くべきか迷ったときはまずお子さんの様子を観察しましょう。緊急性が感じられない場合はかかりつけの小児科、内科を受診し、対応できない検査が必要な場合は医師に紹介状をもらい設備の整った病院を受診するのが一般的な流れです。
重篤な症状が現れた場合はすぐに対応できる病院へ連れていきましょう。
迷ったら病院へ!
子供が嘔吐したら病院に連れていくべきか、また何科を受診するかについてみてみました。
受診が必要ないものから緊急を要する重篤なものまであり、判断するには注意深く様子をみることが重要です。また、子供の表現は未熟な点があるのでちょっとした異変をよく見つめてみましょう。
実際、症状には個人差があり、どの病気が原因であるか専門の医師でも判断が難しいものがあります。
病院に連れて行こうかの判断に自信がもてないこともあるかと思います。迷ったらかかりつけの小児科や内科に相談することをお勧めします。
また、診察を受けた後でも、症状が悪化したり違和感を感じたときは、精密検査のできる病院を受診したり再度かかりつけの医師に相談しましょう。