「お腹が痛い!」
誰もが苦しめられた経験のある症状ですよね?
一般的な症状でありながら、日常生活に支障がでるような痛みも少なくありません。
- 「早くこの痛みから解放されたい!」
- 「でも、病院は何科に行けばいいの?」
- 「病院に行ったら、どんな検査をされるのか不安。」
ただでさえ不安な症状である腹痛、そんな時、どんな診察が何のために行われるのか知っていれば診察の不安も軽くなります。
また、何より自分の症状の説明も的確にできるので、診断がより正確に行えることでしょう。
そこで、今回は腹痛時の病院について、
- 受診する科
- 検査内容
- 精密検査内容
など、わかりやすく解説したいと思います。
腹痛の場合 病院は何科?
- 内科
- 胃腸科
- 消化器科
- 婦人科
- 泌尿器科
などが診察可能な科です。
しかし、これ以外の科、精神科などに回されることもあるので、腹痛といっても何科に行くべきという正確な答えはないのです。
迷った場合は総合病院を受診し、症状を伝え適切な科に回してもらうのがいいでしょう。
そうですね。
痛みの場所により問題が異なりますので、そこが絞れると、早期診断につながるでしょう。
腹痛で病院を受診した場合 行われる一般的な検査は?
- 問診
- 視診
- 聴診
- 触診
- 打診
それぞれについて説明していきますね。
問診
はじめに行われるのは問診です。
医師へ症状について説明します。
聞かれる内容や伝えたい内容は、
- 過去の病歴
- いつからどのような症状がみられたか(痛みの種類・強さ・部位)
- 腹痛は空腹時、満腹時、どちらに現れるか(食事が影響しているか)
などです。
お腹が痛い時、あれこれと考えるのは大変ですよね。
しかし、問診は診察において大切な入口です。
正確に診断してもらい正しい治療を受けるためにも、大事なポイントは漏らさず伝えるよう心がけましょう。
腹部の診察についてはこちらの動画がわかりやすいです。
視診
目で見て患者の様子や腹部の状態を確認します。
体を丸めて痛がっていないか、顔色はどうか、それも診断基準です。
腹部の状態を診る際は、ベットにあおむけに寝て視診します。
視診で診るところは、
- 腹部の形状(削げていたり膨張していたりしないか)
- 腸管の働きや貧血・黄疸・手術跡はないか
- 腹壁静脈に異常はないか(腫れや蛇行)
- へその形状(膨張していないか)
へそが腫れている場合は腹水がたまっている可能性を、想定することができます。
聴診
聴診器で、お腹の音を聞いて動きをみます。
グル音とは少々おかしな名前ですが、これは危険な腸閉塞や肝臓脈に異常がないかを確認することができます。
血管性の特有の雑音があり、それがあれば危険性が高まります。
下痢などではグル音が強くなったり弱くなったりと、腹部の働きの状態を診るのに聴診は大切です。
触診
触診とは、医師が直接腹部に触れお腹の中の状態を診る診察です。
しかし、自分では「お腹が痛い」としか思えなかった症状が、医師の手によって的確な痛みの場所を自覚できますし、腫瘤を確認できることもあります。
とくに胃と腸などの内臓痛は痛みの部分が曖昧なため、自身で食あたりを胃炎と勘違いしてしまうケースも少なくありません。
触診は、腹痛の診察の中でもとくに大切で、他にも様々な腹部の緊急性の病気を発見することができます。
触診で診察できるのは、主に
- 肝臓
- 胃
- 十二指腸
- 胆のう
- 膵臓
- 盲腸
- S状結腸
などです。
肝臓は助骨の下にあるので、そこへ指先を差し込むようにし息を吸い込んだ状態で触診します。
盲腸は腸骨からおへそへ向かった辺りで、押したり離したりすることで虫垂炎(いわゆる盲腸)や腹膜炎がないかを診ます。
S状結腸は、便が溜まっていると触れることができます。
大腸がんの多くが、直腸とS状結腸の間にできるので慎重に診ていきます。
また、温度が低いと感じる部分はうまく働いていないことがわかります。
触診は、
- 緊急性のあるものか
- 重篤な病気の可能性はないか
- 痛みの場所はどこなのか
さまざまな病気を見分けるのにとても重要な診察なのです。
打診
腹部の膨満があるときは、その原因が腹水なのかガスなのかを判断するために打診を行います。
診察台に座り、背中の中央とその両サイドをトントンとたたくのがこの打診です。
中央は膵臓、両サイドは腎臓の病気がないかの診察になります。
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腹痛の場合 行われる精密検査は?
一通りの診察をした結果、医師が必要があると判断された場合に行われる検査があります。
- 尿検査
- 血液検査
- 糞便検査
- 腹部超音波検査
- レントゲン
- 腹部CT
- 心電図
- 内視鏡検査
- 感染性胃腸炎の検査
などです。
尿検査
尿検査では
- 蛋白
- 糖
- ポルフィリン
- 潜血
などを調べます。
尿管結石や腎臓の病気がないか、診ることができます1)。
血液検査
- 赤血球数
- ヘモグロビン濃度
- ヘマクリット値
- 白血球
- 血小板数
などを見ますが、白血球の増加を診て、症状(炎症)の強さがわかります2)。
急性膵炎や前立腺がんの発見にも役立ちます。
貧血状態であれば、臓器からの出血も疑わなくてはなりません。
糞便検査
胃や腸から出血している場合、便から確認することができます。
一般的には、出血がみられた場合、さらに詳しく内視鏡で確認することが望ましいでしょう。
他にも、細菌や虫卵の有無がわかります3)。
腹部超音波検査
- 胃
- 肝臓
- 胆のう
- 膵臓
- 腎臓
といった上腹部にある臓器にエコーを当て、異常を調べる検査です。
がん・ポリープ・腫瘍・結石などの発見に有用なもので、痛みもなく、患者の負担も少なくすみます4)。
レントゲン
- 肝臓
- 胆のう
- 総胆管
- 腎臓
- 腹部大動脈
などを調べます。
炎症や異常なガス像を見つけることができますし、腸閉塞などもレントゲンでわかることがあります。
腹部CT
腹部臓器を詳しく確認できます。
とくに膵臓は超音波検査だけでは病気の発見が困難なこともあり、腹部CTや血液検査と併用することによって診断の確定をする場合があります。
腎臓の病気も、腹部超音波だけでなく尿検査や腹部CTと併用することではっきりと診断できます。
子宮は卵巣はMRIにはかないませんが、ある程度CTでも評価することができます。
腸閉塞の有無や腸管の炎症の有無などもわかります。
さらには、腹水が貯留していないかや、リンパ節が腫れていないかなどもCTでわかります。
心電図
心臓に発生している電気的シグナルを感知し、心臓の異常を調べるものです。
心筋梗塞の予兆である、胃痛や腹痛でないかの判断をします5)。
内視鏡検査
鼻や胃、肛門から挿入したカメラで、直接所見をみるものです。
胃内視鏡検査と大腸内視鏡検査があり、胃や大腸の病気を判断します。
直接見ることで、その炎症の状態の確認や病気の確定に非常に有効ですが、その場で病変を切除することも可能です6)。
参考文献:
1)2)3)4)5)6)よくわかる検査数値の基本としくみP36〜41・50〜55・120〜123・194・68・208
最後に
腹痛の場合の病院についてお話ししましたが、ポイントをまとめます。
- 受診する科は、お腹の痛みがある場所によって原因が異なるため、まずは痛みの場所を確認して選択
- 受診する科を迷った場合は、総合病院へ
- 腹痛の場合、まずは問診・視診・聴診・触診・打診が行われる
- 精密検査は、尿検査・血液検査・糞便検査・レントゲン・腹部CT・腹部レントゲン・心電図・内視鏡検査・感染性胃腸炎の検査などがある
医師が何をみて、どう判断しているのかおわかりいただけたかと思います。
よくある症状である腹痛ですが、腹痛を伴う病気は大変多く存在します。
「お腹が痛い」だけでは、医師でも正確な判断が困難です。
自身の症状をよくみて問診に臨むことができれば、より正確に、より早く、病気の発見につながることでしょう。