「えっ!?便に血が・・・!!」

便と一緒に血がでてしまう、また血が付いている状態を「血便(けつべん)」といいます。

初めて目にしてパニックに陥ってしまった人も多いのでは?

そうでなくとも自分の体の異変に不安がこみ上げてきます。

そこで今回は、血便・下血が見られた場合、どんな病気が考えられるのかについて図(イラスト)を用いてまとめました。

腹痛・下痢・血便は病気のサイン

血便は何らかの病気のサインです。

どんな病気が原因なのかしっかり突き止めましょう。

実は、「痔」などと思い込んで重大な疾患を見逃してしまうことが多いようです。

確かに「痔」の症状にも下痢や便秘、腹痛などに伴う血便があります。

しかし、痔も悪化すれば手術が必要な場合もありますし、その他の重大な疾患の症状を見逃して大事に至ることもあります。

そういった事を防ぐためにも、様々な病気の可能性を知っておくことは大切です。

どんな病気のときにどんな血便や症状があるのか見てみましょう。

腹痛、下痢を伴うことがある血便の病気は?

「血便」と一言でいっても、様々な状態があります。

これって血便なの?と思うような場合もあるでしょう。

血便と下血(げけつ)は同じような意味で使われることが多いですが、厳密には実は意味が違います。

血便と下血の違いは次の通りです。

  • 血便:鮮血に近い赤い色の血液〜暗褐色の血液が混じった便
  • 下血:上部消化管からの出血で、タール便と呼ばれる黒い血液が混じった便

つまり、胃や十二指腸(上部消化管)からの出血は下血、小腸〜大腸からの出血が血便となります。

この違いを押さえた上で、今回は赤い血便の原因を見て行きましょう。

血便の原因には以下のものがあります。

  • 感染性腸炎
  • 潰瘍性大腸炎
  • クローン病
  • 虚血性大腸炎
  • 薬剤性出血性腸炎
  • 大腸憩室炎
  • 大腸がん

など。

では1つ1つ見て行きましょう。

痔の血便の色は鮮紅色、つまり鮮やかな赤です。

ペーパーに血が付く場合もありますが便器が真っ赤に染まってしまうことも。びっくりしますよね・・・。

スマホや雑誌など持ち込んでトイレで長居していませんか?

下痢便秘は痔の症状ではありませんが、いきみが強かったりトイレで同じ姿勢で居座ることが要因となるので無関係ではありません。

痔は出来る場所によって症状が違ってきます。

直腸にできる「内痔核」(いぼ痔)は痛みはなく排便時に出血し、肛門から痔が飛び出してくる違和感があります。よく指で押しこむというものですね。

「外痔核」は肛門の外側に血豆が出来た状態で、腫れて痛みますが出血は少ないのが特徴です。

「裂肛」(切れ痔)は肛門の皮膚が切れた状態です。排便時に肛門に激しい痛みと出血があります。

排便後もヒリヒリとしばらく痛みが残る場合も。

≪痔≫

痔は血便がみられるよくある疾患

血便の血は鮮やかな赤

表面上に血がついていたり、
ポタポタと出血することも

 

感染性腸炎

感染性腸炎とは細菌やウイルスによって発症する胃腸炎です。

急な下痢腹痛吐き気おう吐が現れたら感染性腸炎を疑うことは容易でしょう。細菌やウイルスによって症状が違い、血便がみられるものとそうでないものがあります。

血便がみられる代表的なものは「O-157」「赤痢」です。

感染するため、流行すると話題になるので一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

「O-157」は腹痛や下痢に続き血便がみられることがあります。血便は鮮やかな赤で便に混じるというよりは血が出るといった様子であることが多いです。

「赤痢」の特徴は軟便や水様便から膿粘血便となることです。膿粘血便とは膿や粘液、血液が混じった便です。

 

≪感染性胃腸炎≫

病原体の種類によって
それぞれの血便がみられる

急な腹痛、下痢、
おう吐や吐き気、
発熱を伴う場合は
胃腸炎が疑わしい

 

潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎の血便は赤黒い血が便全体に混じり、白く濁った粘液が付着することがあります。

そのため粘血便(ねんけつべん)と表現されます。

潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に潰瘍やびらんができる疾患で、特定疾患(難病)に指定されています。
治りにくく、繰り返しやすいといわれています。

症状は血便を伴う、または伴わない下痢腹痛です。

下痢はひどいと一日に20回以上も便意が起きてしまいます。

 

 

≪潰瘍性大腸炎≫

赤黒い血便に
白く濁った粘液が付着している

下痢や腹痛を伴う

 

クローン病

クローン病は消化管の様々な部分に炎症、潰瘍を起こす病で特定疾患の一つです。

炎症や潰瘍は口腔から肛門まで多発し、主には小腸大腸に発症します。

それによって、腹痛下痢、ときに血便体重減少が見られます。

 

≪クローン病≫

主な症状は腹痛、下痢

血便を伴うこともある

 

 

虚血性大腸炎

大腸の動脈が何らかの原因でふさがることによって起こる疾患で、大腸のとくに左側によく起きます。
高齢者に多い疾患ですが、若い人も動脈のけいれんなどで起こることがあります。

下行結腸で発生することが多く、「急に左下腹部が痛みトイレに行ったら赤黒い便が出た」といってこの疾患に気がつくのが典型的な例です。

多くは、腹痛も下血も数日でおさまりますが、腸が狭くなったり潰瘍部に穴があいたりすることがごく稀にあるので注意が必要です。熱を伴うことは少なく、痛みを感じてすぐに便意をもよおし下血がすぐに起きる事が特徴といえます。

 

≪虚血性大腸炎≫

腹痛(主に左下)を伴いそれに引き続く、赤黒い便や下痢がでる

 

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薬剤性出血性腸炎

名前の通り、薬の服用が原因で起こる腸炎です。

腹痛を伴わないこともありますが急激な血便(トマトジュース状と表現されるがおきます。

またその出血量は多く、前触れもない出来事にパニックになってしまうでしょう。

合成ペニシリンなど抗生物質などをある期間服用していたのなら薬剤性出血性腸炎の可能性があります。

内視鏡で確認すればすぐに診断はつきます。

 

≪薬剤性出血性腸炎≫

腹痛は伴わない場合もあるが、急激で多量のトマトジュース状の血便が特徴

抗生物質など、ある期間薬を服用したことによる疾患

 

大腸憩室炎

大腸憩室は大腸の壁の一部が突起して出来たもので発見されても無症状であれば治療は必要ありません。
しかし、便が詰まったり炎症を起こすと強い腹痛下痢発熱などの症状がでます。

赤黒い血便を伴うことがあり、ごく稀に動脈が破れて大量出血しショック状態に陥る場合もあります。

 

≪大腸憩室炎≫

腹痛、下痢症状から赤黒い血便が出るようになる

ごくまれに大量出血する

 

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大腸がん

大腸がんは大腸に発生するがんで、主な症状は血便下血下痢と便秘を繰り返す腹痛、お腹の張り、便が細いなどです。血便はよくみられる症状です。

大腸は2メートルと長く、どの部分にどの程度の腫瘍があるかによっても症状は違います。がん化しやすい「結腸」「直腸」をみてみましょう。

「結腸」は小腸に近いところにあり、結腸にできたがんの初期段階では下痢や便秘は起きにくいでしょう。結腸では便と血が混じりやすいので赤黒い血便になります。

肛門に近い「直腸」でのがんは下痢がおこり、何度排便してもすっきりしません。直腸まできた便は水分が少なく、血とは混じりにくいので便に血の塊が付着したような血便となります。

血の塊は痔よりも少し黒ずんでいます。

 

≪大腸がん≫

結腸がんでは下痢や便秘はおこりにくいが赤黒い血便がみられる

直腸がんでは便に少し黒ずんだ血の塊が付着した便が確認できる

大腸は長く、がんの部位やその程度によって症状は様々なので判断は難しい

 

最後に

腹痛で下痢に加えて血便が出た時に原因となっていると考えられる病気をご紹介しました。見ておわかり頂けるように、この症状ならこの病気とはっきり断定できるものではありません。

炎症の場所や、病気の進行具合でも違ってきます。

身近な「痔」だと思い込んで重大な疾患を見逃してしまうことが少なくありません。もちろん「痔」も進行すれば手術が必要となることがあります。

大切なことは、自己判断せずしっかり受診することです。

血が赤いから「痔」かな、などと素人判断で放っておくのは危険です。腹痛に下痢に血便、これだけ体から異変のサインがでているのです。

体のサインに答えて検査を怠らず早めの治療で健康を維持したいものですね。