胃腸炎の中でも、突然襲ってくる吐き気や嘔吐に下痢といった非常にツライ症状を伴う感染性胃腸炎。

感染力が強いため、周りに居合わせた人や家族までもが同じ症状で苦しむことが少なくありません。

そんなにすぐうつっちゃうものなの?

そうなんです。

苦しむ人を見てるのもツライですが、自分も同じ症状に陥ると、仕事や日常生活にも支障が出ます。

そこで今回は、感染性胃腸炎

  • 感染経路
  • 潜伏期間
  • 予防法

をわかりやすく解説したいと思います。

潜伏期間や感染経路を知って、どうしたら予防できるのか、うつらないためにはどうしたらいいのかを考えてみましょう。

感染性胃腸炎とは?

感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などが原因となって発症する胃腸炎の総称です。

代表的なウイルス

  • ノロウイルス
  • ロタウイル
  • アデノウイルス
  • サイトメガロウイルス

など、“お腹の風邪”です。

代表的な細菌

など、いわゆる食中毒です。

また、これ以外にも寄生虫(アメーバ赤痢・ランブル鞭毛虫)や真菌性(カンジダ・アクチノマイコーシス)などによる観戦もあります。

感染性胃腸炎の感染経路は?

ほとんどは、経口感染で感染します。

経口感染って、なんとなくピンと来ないけど・・・。

ウイルスや細菌などが、胃腸内に侵入することで感染するのです。

具体的例を挙げると、とくに多いのは、以下のようなもので感染します。
  • 嘔吐物や糞便
  • 飛沫感染・接触感染
  • 感染者の調理したもの
  • 汚染された二枚貝
  • 消毒不十分の井戸水や簡易水道

など。

嘔吐物や糞便

感染している人の嘔吐物や糞便にはウイルスや菌が含まれていますが、処理の方法が適切でないと、手に目には見えないウイルスや菌が付着してしまうのです。

また、完全に処分できず残ったおう吐物やふん便が乾燥し、ウイルスが空気中を漂い、それを吸い込んでしまいます。

排泄物で汚れてしまった衣類にもウイルスは付着するので、注意が必要です。

飛沫感染・接触感染

咳や唾液(つば)にも、ウイルスや菌は含まれます。

咳やつばとしてウイルスや菌をドアノブなどにつけてしまい、それを介して他の人に付着し、その結果、口からウイルスや菌が入ってしまうのです。

また、感染者が使用したタオルや口をつけた食品などにも付着します。

感染者の調理したもの

自分で汚物を処理した感染者のには、病原体が付着している可能性が高いです。

その手で調理をすることによって、食べ物に付着しそれを食べた人へ感染します。

汚染された二枚貝

海でウイルスを蓄積した二枚貝によって感染するものですが、生もしくは加熱不十分で食べた場合に起こります。

ノロウイルスといえば牡蠣ですか?

牡蠣はウイルスを蓄積する内蔵ごと、しかも生で食べることが多いので、同じ二枚貝でも内蔵部分を取り除いて食べるホタテや加熱して食べるしじみやあさりよりも感染しやすいと言えます。

消毒不十分の井戸水や簡易水道

井戸水や簡易水道は、汚染の影響を受けやすく、水質が不安定です。

そのようにして、消毒不十分となってしまった水を摂取して感染することがあります。

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潜伏期間はどのくらい?

ウイルスや菌に感染したことによる胃腸炎の潜伏期間は、それぞれのウイルスや菌によって違ってきます。

  • ノロウイルス・・・30〜40時間
  • ロタウイルス・・・2~3日
  • アデノウイルス・・・7~8日
  • 腸炎ビブリオ・・・1日以内
  • サルモネラ・・・8〜48時間
  • カンピロバクター・・・2~7日
  • 黄色ブドウ球菌・・・1〜5時間
  • アメーバ赤痢・・・数日〜数年
  • O-157・・・4~8日1)

短いものから長いものまであります。

これは、

しかし、症状も出ていないこの潜伏期間のうちからうつる可能性があるのです。

症状が緩和されても便などから病原体を排泄するので、長い間、感染の注意を続ける必要があります。

しかし、厄介な事に、症状がでない・軽度で気がつかない感染者もいます

そのため、潜伏期間も発症期間も気づかず広めてしまう場合もあるのです。

感染性胃腸炎の予防法は?

予防の基本は、何といっても手洗いです。

ただ手を洗えば予防になるのですか?
なんとなくは分かっていても、正しい手洗いを実践している人は少ないのではないでしょうか?

胃腸炎は、症状の出ていない潜伏期間でも感染する恐れがあるので日頃から手洗いは徹底して行うことが予防の第一歩です。

正しい手洗いをおさらいし、しっかり実践して胃腸炎を予防しましょう。

正しい手洗い方法

  1. 時計や指輪は外しましょう。
  2. 石鹸は手のひらに付け手の甲まで全体にこすりつけます
  3. 指先や爪の間をしっかり洗うため手のひらに指をたてて軽くひっかくように洗います
  4. 手のひらを合わせ、指を交互に絡ませ指の間をこすります
  5. 親指を握りねじって洗います
  6. 手首を掴むようにして回して洗います
  7. 十分に水で洗い流します
  8. 清潔なタオルやペーパータオルでよく拭きます

とくに汚れやすいところは、

  • 指先や爪の間
  • 指の間
  • 親指のまわり
  • 手首
  • 手のシワ

です。

意識して綺麗に汚れを落としましょう。

また、爪が伸びていないかの確認も・・・大事ですよ!

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身近な人が感染した場合の予防法は?

もし、家族などがすでに感染してしまっている場合、手洗いくらいしか予防法はないのでしょうか?
自分にうつされないようにする事は、さらに拡大させないためにも大切なことです。

細菌はアルコール消毒が有効ですが、ノロなどのウイルスには効果がなく、次亜塩素酸ナトリウムの消毒液を使って二次感染を防ぎます。

おう吐物・ふん便の適切な処理

身の回りで感染してしまった人がいたら二次感染を防ぐために排泄物を適切に処理しましょう。

まず、用意するもの

  • バケツ
  • 塩素系消毒液(キッチンハイター)
  • マスク
  • 使い捨てビニール手袋
  • 白衣やエプロンなど
  • 拭き取る布やペーパータオル
  • ビニール袋

です。

処理手順
  1. 処理する人以外は汚物に近づかないようにしましょう
  2. 手袋・マスク・白衣など着用します
  3. 汚物を拭き取るペーパーなどで外側から囲むように、汚れた面を折り込みながらぬぐいます
  4. 0.1%の次亜塩素酸ナトリウムをビニール袋に入れ拭き取ったものと汚物をその中に入れます
  5. 汚れた部分をペーパータオルで覆い0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを染み込ませます
  6. 手袋は裏返しながらそっと外して汚物の入れたビニール袋に入れます
  7. 丁寧に手洗いをしましょう

カーペットなどは変色する場合があるので、スチームアイロンを使って85度で1分以上あてれば処理できます。

衣類が汚れてしまった時は熱湯消毒をするか、0.02%の次亜塩素酸ナトリウムに30~60分ほど浸しましょう。

その後は、ほかの衣類と別にして洗濯をします。

トイレやお風呂を清潔に

下痢をしている人がいたら、

  • ドアノブ
  • 電気のスイッチ
  • 水道の蛇口
  • 手すり
  • おもちゃ

などの消毒もお忘れなく。

これらはみんなが触れる場所で、接触感染しやすい部分です。

また、家族の場合は同じお風呂に入りますね。

下痢をしている人は、最後に入るようにしましょう。

まず、おしりを綺麗に洗います。

お風呂のお湯は毎日換えて、タオルの兼用は避けましょう。

浴槽だけでなく、洗面器やイスも掃除を丁寧にすることもお忘れなく。

ですが、症状が出ているうちは、シャワーだけで済ませるのも感染拡大予防ともなるでしょう。

キッチン用品の消毒

感染者の使用した食器類は、熱湯消毒をしましょう。

熱湯書毒は、85度の熱湯で1分以上です。

もしくは、薄めた次亜塩素酸ナトリウム消毒します。

生ものを控える

十分火を通したものなら、食べ物からの感染を防ぐことができます。

夏場に流行する細菌性ウイルスは、生ものを控えればリスクも少なくなりますね。

感染性胃腸炎の予防のために!感染しにくい体をつくる

ほかにも、うつらないようにするために、とても大切なことがあります。

それはストレスや疲れをためず、感染しにくい体をつくることです。

ストレスは「万病の元」と言いますが、胃腸炎とストレスや体の疲れは深い関係があります。

上手にストレスを発散して、十分な栄養と休息をとり、感染しにくい元気な胃腸をキープしたいですね。

参考文献:
INFECTION CONTROL 11 2016P39
ノロウイルス現場対策 その感染症と食中毒P135〜140
消化器疾患ビジュアルブック P91・92 1)92
参考サイト:日本大腸肛門学会

最後に

ポイントをまとめます。

  • 感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌が原因となって発症する胃腸炎の総称
  • 代表的なウイルスは、ノロウイルス・ロタウイル・アデノウイルスなど
  • 代表的な細菌は、腸炎ビブリオ・サルモネラ・カンピロバクター・O-157など
  • 嘔吐物や糞便・飛沫感染・接触感染・感染者の調理したもの・汚染された二枚貝・消毒不十分の井戸水や簡易水道で、感染する
  • 潜伏期間は、それぞれのウイルスや細菌によって異なる
  • 予防の基本は正しい手洗い

 

ウイルスや細菌は、症状が治まった後も排出され続けるので、しばらくは予防を徹底しましょう。

潜伏期間があるので、忘れた頃に感染・・・なんてこともありますからね。